論文コラム「高血圧予防に味噌?味噌と血圧の関係」

こんにちは!KIKUを運営している山口こうじ店専務の山口和真です。

高血圧で塩分を控えている方のなかには「味噌は塩分が含まれているから控えよう…」という方もいるのではないでしょうか。実はそれは間違いで、味噌は高血圧予防に良いと言われているのです。

今回は、皆さまの中でも気になっている方が多いと思われる「味噌と血圧の関係」をまとめていきたいと思います。日本では1300年近く前から味噌が食べられていたと言われていますが、毎食味噌汁を食べていた過去の日本人は高血圧だったと思いますか?

今回は日本海水学会誌に特集として掲載された「味噌の塩と降圧機序」をもとに、味噌と血圧の関係を見ていきたいと思います。

目次

食塩による高血圧のメカニズム

日本人の3人に1人が高血圧。高血圧の要因はさまざま。

まず高血圧となる要因として、食塩の摂りすぎや肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなど様々なものがあります。日本人の3人に1人が高血圧と言われており、高血圧は自覚症状がないのにも関わらず、急死に繋がるような心疾患や脳卒中などリスクを増加させます。

特に昨今の日本人の食生活は元来の和食から洋食化が進んでいるのと外食産業の発達により、食塩の摂取量が増加していると言われています。1日の食塩の推奨摂取量が8gなのに対し、日本人は平均して10.8g(国民健康・栄養調査, 2016 (日本))と世界でも最多の摂取量を誇っており、近年の心疾患や脳卒中の増加の一因となっています。

高血圧には食塩を摂取したことで変化するNa濃度が関係している

食塩と高血圧のメカニズムですが、食塩を摂取すると消化管内で吸収され血液中などの体液中のNa(ナトリウム)濃度が上昇します。発汗や細胞と血液内の物質の運搬など、体に必須なナトリウムですが、濃度が上昇すると正常値である約9%のNa濃度に減少させるため、細胞内や消化管内から浸透圧(大塚製薬参照)により、血管内に水分が移動し、血管内の水分量が増加=血液量が増加します。血液量が増えると、心臓の拍動によって送られる血液量(心拍出量)が増加し、それにより血管内の圧力が上昇することで高血圧となります。加えて、加齢により血管の柔軟性が低下したり、喫煙によって血管収縮が起こると、さらに血圧の上昇を引き起こすのです。

塩分が含まれる味噌も、摂取すると血圧が上がる?

では塩分が含まれる味噌を日常的に食べていると、血圧はあがるのでしょうか。

味噌を毎日食べても血圧は上がらない結果に。

味噌は10~15%の塩分で、味噌汁一食あたりの塩分摂取量は約1.5gほどです。味噌の塩と降圧機序では、正常高値血圧者で高血圧治療を受けていない人間ドック受診者を対象に 5 年間の横断的調査を実施しところ、味噌摂取量の増加とともに血圧の上昇は認められなかったと報告されています。

さらに、市販の米麹味噌(一般)とアンジオンテンシン変換酵素(強力な末梢血管収縮作用を持つ)阻害活性強化味噌を、正常または正常高値血圧から未治療ステージ I 高血圧者を対象に,味噌汁一日 2 杯を3 か月間摂取し,その間の血圧変化を調査した ところ、血圧に変化はなかったと報告されています。

味噌の高血圧抑制のメカニズム

味噌が高血圧の要因にならないことはわかりましたが、ではなぜ食塩を摂取してるのに血圧が上昇しないのでしょうか。

味噌には何らかの利尿作用をもつ物質が存在する?

ラットを用いた実験では、味噌に含まれる食塩は完全に消化管内で吸収されていることから、味噌内に食塩の吸収を阻害するような作用はないことがわかりました。一方で全て吸収されたのに血圧が上昇しないということは、体液量が減少した、もしくは末梢血管が拡張したかと思われました。そこで尿を解析するとNaが検出され、Naを排出していたことがわかりました。これはNaが尿により排出されることで血圧の上昇が抑制されていることが示唆されました。さらに分析してみると、腎臓内で濾し取ったNaが血管内に再吸収されにくくなっていることが明らかになり、味噌になんらかの利尿作用を持つ物質の存在が示唆されましたが、解明には至っていないとのことでした。

食塩とミネラルの関係

味噌に含まれる機能性成分が高血圧を抑制する因子として働いていることがわかりましたが、他の栄養素も関わっていると思います。

ミネラル分に高血圧抑制作用がある

例えば、カリウムマグネシウムなどのミネラル分(食塩 と健康-高血圧との関わり-)です。

カリウム体液中のNaを排出作用と高い利尿作用を有しており、高カリウムを摂取することで、血圧が顕著に降下することがわかっております。日本人のカリウム摂取量は欧米人と比べ少なく、日本人の食塩摂取量を考えるとカリウムの摂取量を増やすことが賢明であることが言及されています。また、カリウムは糖質代謝や脂質代謝にもよい影響が報告されておりますが、腎機能が低下している場合は過剰摂取は副作用が考えられます。

マグネシウム血圧の調整機能を担っていることがわかっており、グネシウムの摂取が不足すると血圧が上昇することがわかっています。サプリメントなどでのマグネシウムの摂取に対しての研究では、高血圧の抑制に賛否が上がる結果となっています。そのため、サプリメントではなく、食品中からのマグネシウムの積極的な摂取を行うことで、高血圧の抑制に繋がると考えられます。

精製塩と天然塩

食塩は精製塩天然塩の2種類があり、同じ塩でも全く違うものとなっています。

精製塩(食卓塩)には塩化ナトリウム以外のミネラル分がほとんど含まれていない

スーパーなどで市販されている安価な食卓塩などは精製塩と呼ばれるもので、海水をイオン膜ろ過法により、塩化ナトリウム(食塩)を効率よく結晶化させたものです。塩化ナトリウム99.5%以上の純度となっており、他のミネラル分がほとんど含まれていないのが特徴です。

天然塩はカリウムやマグネシウムなどのミネラル分も多く含まれる

一方で、天然塩は海水を天日で干して結晶化させたものであり、塩化ナトリウムのほか、カリウムやマグネシウム、鉄、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。精製塩に比べ、作るのがとても大変であり、価格も精製塩と比べ3~10倍もしますが、血圧の上昇を抑制するカリウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富であることから、普段のお料理に天然塩を使用するだけで、血圧の上昇も抑えられると考えられます。

味噌に使用された食塩にも注目

高血圧の抑制をより考える場合、味噌に使われている「塩」にも気をつける必要があります。

市販品の一括表示では「食塩」のみと塩の種類まで記載されておりませんが、基本的に安価な味噌は精製塩の可能性が高いです。やはりコストを抑えるために真っ先に検討されるのが食塩のため、汎用みそはほとんど精製塩だと思われます。

一方で天然塩を用いた味噌の場合、パッケージに表記されている場合が多いです。山口こうじ店で販売されている味噌はすべて天然塩の「五島灘のいそしお」を使用しており、一括表示には「いそしお」と記載しております。

このように味噌を選ぶ際も減塩味噌を選ぶのではなく、塩の種類まで見てみると選択肢がだいぶ変わってくることがわかります。減塩味噌でも精製塩を使用していたら、なにかもったいない気がしますよね。

白河関のみそ

山口こうじ店では、自社栽培の大豆と地元の米、五島灘のいそ塩を使った味噌を製造しております。

特に「白河関のみそ」は、平成6年~8年の3年連続全国味噌鑑評会で理事長賞を受賞した味噌であり、弊社のスタンダートモデルの味噌です。濃厚な旨味と麹の甘味が特徴で、毎日のお味噌汁や炒め物などにも最適です。明治6年から歴史とともに作り上げてきた、皆様に自信を持って提供できる味噌なので、一度お試しいただければ幸いです。

私のイメージですが、麹菌や乳酸菌も「生物」ですから、ミネラル豊富な環境のほうが栄養素が不足することなく、頑張れるんだと思います。美味しさにも確実に関わってくると私は確信しています。

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この記事を書いた人

山口 和真のアバター 山口 和真 有限会社山口こうじ店 専務

福島県白河市出身。
東京農業大学醸造科学科で基礎的な醸造学を学び、より深い知見を得るため同大学院に進学。発酵食品の研究を行う研究室で日々発酵試験を行いながら、キノコの特異性に惹かれ、研究テーマに。キノコを用いた環境浄化について論文を挙げた。その後、実家家業である有限会社山口こうじ店に入社し、大学院生活で得た微生物学的知識から新たな発酵食品の開発を行う 。地元TV放送局でのレギュラー出演や雑誌・新聞等にも多数出演。徹底した「本物の味」造りをモットーに、皆様に食で笑顔と健康を届ける麹屋を目指す。
受賞歴:ふくしま産業賞 奨励賞、白河関のみそ 全国味噌鑑評会 平成6~8年の3年連続理事長賞

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