こんにちは!KIKUを運営している山口こうじ店専務の山口和真です。
健康を維持する上で、適度な運動は必須と言えるでしょう。ではなぜ運動が必要なのか?運動は、実は腸内環境を整えるという意味でも健康維持に必要と言われています。健康と腸内細菌の密接な関わりは、昨今の研究でおおいに判明してきました。では、運動をすること腸内細菌叢にどのような変化がもたらされるのでしょうか。
今回は、運動による腸内細菌叢の影響についてを、2020年に発刊された腸内細菌学会誌の総説「運動と腸内菌叢」(森田英利)をもとにまとめていきたいと思います。
腸活を行っている方や、腸内環境を整える方法について幅広く学びたい、という方はぜひお読みください。
食事だけじゃない腸活の秘訣は「適度な運動」
結論からお話すると、食事だけじゃない腸活の秘訣は「適度な運動」です。運動は腸内環境に良い影響をもたらすことが分かっています。ではどのような良い影響があるのか・なぜ運動することが腸内環境と関係あるのか?を解説していきたいと思います。
アスリートってどんな腸内環境をしているの?
実際に運動前と運動後の腸内細菌叢※を分析する前に、日常的に激しいトレーニングを行うアスリートと一般人の腸内細菌の様子を比較していきましょう。
※腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)・・・腸内にいる細菌の微生物群衆(腸内フローラ)のこと
アスリートと一般人では、食事の内容が異なる
プロアスリート選手は食事をとても大切にしており、今まで研究されてきた栄養学的な情報の蓄積と管理された食事内容や摂取の仕方を徹底しています。特に昨今のスポーツ選手は、各成分にまで注目して、例えばタンパク質は一日に何gとって、脂質は何g以下に抑えるといったことや、疲労回復やパフォーマンス向上のためのサプリメントが摂取が当たり前になっています。国際大会に出る選手では、専門の調理師や栄養士とともに大会に向かう例も少なくありません。
アスリートは高タンパクで低カロリーな食事の傾向
一般人の1日タンパク質摂取推奨量は体重1kgあたり1gとされていますが、激しい運動を行うアスリートは切れた筋繊維の回復のため一般人に比べ1.3~1.7倍ものタンパク質を摂取する必要があります。さらに、体脂肪の増加はパフォーマンスの低下を招くことから、糖質や脂質の摂取量を調整しており、アスリートの食事は一般人と比べ、高タンパク質で低カロリーな「栄養密度がかなり高い」食事の傾向にあります。
アスリートと一般人(BMIの異なる3パターン)で比較
腸内細菌叢は食事内容に敏感に影響を受けることから、食事内容が異なるアスリートと一般人では腸内細菌叢も異なるのではないか、ということで、アスリート(BMI22)とBMI数値で22.27.35の3パターンの普段運動をしていない一般の方の腸内細菌叢を分析してみました。
アスリートは腸内細菌の種類が多様
その結果、腸内細菌叢の「多様性」がアスリートは顕著に優れている傾向にあり、BMI数値が高い順に多様性が認められる傾向にありました。多様性とは腸内細菌叢の種類が多いということを示しており、BMI数値22の一般人と比べると同じBMIのアスリートで多様性が認められるということは、アスリートの栄養密度の高い食事と運動は腸内細菌叢の多様性に影響を及ぼしていると考えられます。
ラグビー選手では腸内で活発に短鎖脂肪酸や有機酸の生産が行われている
同様にプロラグビー選手の腸内細菌叢も同様の結果を示しました。さらにラグビー選手の糞便に含まれる腸内細菌のもつ遺伝子や腸内細菌の代謝産物を解析したところ、腸内での食品成分が効率よく分解・利用される環境になっていたことがわかり、加えて善玉菌の働きにより生産される酪酸や酢酸、短鎖脂肪酸などが運動をしていない人よりも多い傾向にありました。
運動がもたらす腸内細菌叢の多様性への影響
上記では特に食事による影響まとめましたが、これをもとに運動による腸内細菌叢の変化を見ていきたいと思います。
運動により腸内菌叢の多様性が良好に変化する
実験では①運動を行うグループ、②高タンパク質を摂取しながら運動を行うグループ、③高タンパク質は摂取し、運動を行わないグループに分けて、経過を観察しました。まず、③のグループでは体重の増加が見られましたが、腸内細菌叢の多様性の変化はほとんど見られませんでした。一方で、①②のグループでは③のグループと比べ、大幅な多様性の変化が認められました。この検討から、食事のみならず運動によって腸内細菌叢の多様性が変化していることがわかりました。
ハーフマラソンでも腸内環境に変化が
さらに、ハーフマラソンの前後で腸内細菌叢に変化が生じていることもわかっております。持久運動中、腸内環境のバランスの維持のため、善玉菌類などが活発に活動をしており、それにより抗炎症物質の生産を活発化させることが示唆されました。
運動により酪酸の生産量が増加
最後に食事内容は変えず、中~強程度の30~60分の運動を週に3回、6週間継続したところ、実験前と比べ、腸内での酪酸の生産量の増加がみられたそうです。酪酸はビフィズス菌などの善玉菌が生産する物質で、腸内では悪玉菌の増殖を防いだり、大腸での水分やミネラルの吸収を促進する作用があります。詳細に分析すると、酪酸を生産する複数種類の菌が増加していることがわかり、興味深いことに、その後、全く運動をせずに6週間経過したところ、酪酸を生産する菌の数が減少していたことから、運動が腸内細菌叢に良好な影響をもたらしていることがわかりました。
まとめ
運動は腸内細菌叢にも良い影響が
ダイエットや健康維持に運動は必要!とはよく聞きますが、「なぜ必要なのか」を答えられる人は少ないかもしれません。今回総説をまとめると、運動が腸内環境にも良い影響をもたらすことが分かりました。
健康やダイエットために腸活を始めているという方は、適度な運動も併せて行うことで、より理想的な腸内環境を整えることができそうですね。
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